FXにおけるリスクリワードは、FX初心者にとって聞き慣れない言葉かもしれませんが、トレードにおける極めて重要な概念です。この記事ではリスクリワードの基本的な意味とその重要性について解説します。
リスクリワードの定義
リスクリワードとは、文字通り1つのトレードにおいて「リスク=損失」と「リワード=報酬(利益)」の比率を指します。つまり、ある取引でどれだけの損失をリスクとして受け入れ、それに対してどれだけの利益を期待するかを示す数値です。1つのトレードがどれだけの価値があるのかを数値化する手法でもあります。
具体的な数式を使った定義としては
「リスクリワード」=「期待利益」÷「期待損失」
と表現できます。
期待利益:ある取引での利確ポイント。ここで利確(利益確定)すれば利益が〇万円となるという位置。
期待損失:ある取引での損切りポイント。ここで損切りすると損失が△万円となる位置。
例えば期待利益を3万円、期待損失を1万円として考えると、リスクリワードは3万円÷1万円=3と計算できます。
一方で、過去のトレードを検証する際には、この考えを応用し過去のリスクリワードを計算することもできます。計算式は
「過去のリスクリワード」=「勝ちトレードの平均利益」÷「負けトレードの平均損失」
となります。これまでの勝ちトレードの平均利益が6万円で、負けトレードの平均損失が3万円だった場合は、過去のリスクリワードは6万円÷3万円=2と算出できます。
自分のかつてのトレードが無謀ではなかったか、価値のあるものだったかを分析する良い機会となるかもしれません。
なぜリスクリワードが重要なのか
一般的に、リスクリワードは2〜3が理想的と言われています。なぜFXにおいてリスクリワードを考えることが重要と言われるのか‥
その理由はズバリ、リスクリワードを高く保てれば、たとえ勝率が低くても1回の勝ちで利益のリカバリーが可能になるからです。
一般的に、勝率とリスクリワードは反比例・あちら立てればこちらが立たぬ状態です。そして初心者ほど、見た目がわかりやすい「勝率」に目が向いてしまいがちです。
それを悪用した「勝率99%!」のような初心者騙しの広告もFXには多くあります。
嘘や誇大広告について詳しくは別の記事で紹介しているのでここでは割愛します。
例えば勝ったら1円ゲット、負けたら借金が確定するようなトレードは誰もしたいと思わないでしょう。
コツコツドカンと呼ばれることもありますが、それでも小さくコツコツ勝つため、勝率(勝った回数÷全トレード回数)だけで見れば高いことがあります。
リスクリワードを無視するとこうなる!勝率99%の罠
リスクリワードを無視した極端な例を挙げます。
勝率全振りのAさん、トレード手法は「1円の利益が出た時点で利確、損切りは一切しない」という方法です。
人生の幸運を使い果たし、なんとか99回連勝して利益は99円でしたが、たった1回負けて数百万円の損失。ロスカットも間に合わず、Aさんは借金を背負うことになりましたとさ。
こんな無謀トレードでも、勝率は99%なのです。(リスクリワードは1/数百万円≒0.0000001)
上記の例で言えば損切りしないため、たった1回の大負けで数百万円の損失となり破綻しますが、勝率は「勝った回数だけ」を数えるため、数百万円の損失リスクのことは一切考えません。
冷静にリスクリワードを考慮すればこんなトレードはしないはずですが、初心者トレーダーは一見わかりづらいリスクリワードを考慮せずに勝率だけを気にしてしまうことが多く、こうして「勝率99%の罠」に騙されてしまうのかもしれません。
損失が出るのは当たり前
FXの世界では、どんなにベテランのトレーダーでも相場を完全に予測し、勝率を100%にすることはほぼ不可能とされています。つまり多少の損失が出るのは当たり前なのです。FXという仕事における必要経費と思うようにしましょう。
「先読み」や「完全予測」は詐欺師の常套句ですので気をつけましょう。
経費として損失が出るのはFXでは当然、であればその損失をいかに小さく抑えるかがトレーダーの腕の見せ所です。リスクリワードを考慮するということは、単なる勝敗ではなく総合的な収益を考慮することにつながります。
これは最終的に、トレーダーとしてのリスク管理スキルの向上とトータルでの利益率の向上をもたらすことになるでしょう。
大切なのはバランス!勝率とリスクリワードの関係
先ほども述べましたが、一般的に、勝率とリスクリワードは反比例の関係となっています。リスクリワードは高すぎても低すぎてもいけないのです。
リスクリワードを高くしすぎると、実際にその利益になるまで利確(決済して利益確定)をしないことになり、せっかく少し勝っていたのに途中から相場の様子が変わり、最終的には損切りして負けてしまうことがあります。
一方でリスクリワードが低すぎる(0に近い)と損失の割合が大きくなっている、つまり小さく勝って、大きく負けるリスク(損大利小)が高まっているといえます。先ほどの例で説明したコツコツドカンというやつです。
大切なのは勝率とリスクリワードとのバランスで、リスクリワードの理想は2〜3と言われています。
理想的なリスクリワードに近づける簡単な方法
ここからは具体的に、リスクリワードをどのように理想値2〜3に近づければ良いかを考えてみましょう。
リスクの設定方法
最も簡単(で最も難しい)のは、「損切り注文を入れること」です。
これにより、「リスク」の部分を一定額に抑えられます。失敗した時に失う金額が決まっていれば、そのトレードを必要以上に怖がることはないでしょう。
最も簡単(で最も難しい)と表現したのは、誤表記でもなんでもありません。損切りは設定自体は簡単なことながら、損失を認めたくないという人間の本能に最も反した行為であるからです。ただし、ここを乗り越えられないとトレーダーとして長生きするのは不可能と言えるでしょう。
リターンの設定方法
これも難しいことはありません。あらかじめ「このポイントまで来たら利確」と利益確定の水準を決めて指値注文を入れるという方法です。これで、勝ちトレードの際に戸惑うことなく一定の利益を確保することが可能です。
先ほどの設定でリスクをまず一定に抑えているはずですから、予想リターンが損切り額の2〜3倍となるポイントに利確を設定しましょう。これで理想的なリスクリワードとなります。
大切なのは、予想リターンが予想損失の2〜3倍にならなそうな時は、無理してエントリーしないということ!
「良い相場、得意な相場まで待つ」というのも、普通はなかなかできない立派なトレーダーの仕事です。
リスクリワードを設定したら放置!
これはあくまで筆者の経験談に基づく話ですが、自分の手法で、自信を持ってエントリーできたら、少しトレードから離れましょう。自分のトレードを信じてみましょう。
別の記事でも紹介していますが、人間の本能では、利益を早く確定してしまいたい一方で、損失はできる限り認めたくないと思ってしまいます。
エントリーした後も相場が気になりすぎる‥という人は、もしかしたら証拠金があまりにギリギリでエントリーしているか、リスクリワードが理想値から離れすぎているかもしれません。
相場をずーーっと眺めていることは、ポジポジ病の元にもなりますし、根拠の薄い無理やりエントリーの元にもなります。
どのみち、エントリー後も相場が常に気になるようなヒヤヒヤトレードは、冷静な判断を鈍らせることになるため、トレード環境や手法を見直したほうが良いのかもしれません。
本能に従えばFXは負けて当然‥本能に逆らえ!
せっかくリスクリワードを学び、トレードに生かそうと考えていても、FXでは勝てない人が続出します。
詳細は別の記事で紹介していますが、人間の本能として、利益は早く確定してしまいたい一方で、損失はなるべく認めず、リスクをとってでもチャラにしたいという衝動があります。
つまりFXの場では「早すぎる利確と、遅すぎる損切り」です。本能に従うとこれは無理のない話なのですが、FXではロスカットまで損切りできないことになり、確実に破産しますね。
もしFXトレーダーとして長く相場に生き残りたいのならば、こうした本能に逆らわなければなりません。
ここがFXで勝てない人が続出する最大の原因であり、普段どんなに自制心が強めな人でも感情で「自分は絶対大丈夫!」「今度こそちゃんとやる!」と思ってどうにかできるものではないため、エントリーしたら機械的に損切り・利確の指値注文をしてしまいましょう。
絶対に借金だけはしたくないという方は、しっかりとリスク管理ができるまでは海外FX業者の検討をしても良いでしょう。
借金をしなくて済む理由はこちらの記事で紹介しています。
まとめ
リスクリワードはトレード戦略の中で、リスクとリワード(リターン)のバランスを保ち、適切なリスク管理をして全体的な収益性を向上させるために極めて重要な考え方です。
初心者にありがちですが、リスクリワードを考慮せずにエントリーすると、負けて一気に資金を失うこととなります。
ベテランのトレーダーほどリスクリワードを重視して、目標値にならない、つまりそのトレードが割に合わない場合はエントリーを見送るスキルを身につけています。
今日からあなたも初心者の域を脱して、FXで自由な生活を始めてみませんか?
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